試験研究費の税額控除を巡っては、様々な論点はありますが、中でもその意義と範囲に関しては、容易に判断し得ない側面が多いとされています。
この背景には、税務上の試験研究費の意義や範囲が、会社法や会計基準等において定義される研究開発費等とその意味合いを異にしていることは否定できません。
ただ結果として、法人税法上、重要となってくるのは、試験研究費として税額控除できるかどうかという点かと思いますので、税務上の試験研究費に該当するか否か、その考え方や方向性を企業内部でしっかりと整理しておく必要があるものと思います。
この点、税務上の試験研究費とは、「製品の製造または技術の改良、考案若しくは発明にかかる試験研究のために要する費用」とされ、具体的には、
① その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限る。)および経費
② 他の者に委託して試験研究を行う法人(人格のない社団等を含む。)のその委託研究費
③ 技術研究組合法の技術研究組合から賦課され納付する費用
などが挙げられます。
一方、税務上の試験研究費に含まれないものとして、例えば、事務能率や経営組織の改善に要する費用、販売技術や方法の改良に要する費用、販路開拓に要する費用、あるいは単なる製品のデザイン考案費用などが指摘されています。